メニュー 財ラボ会員&財Lover共通メニュー 財ラボ会員限定メニュー |
専門誌「財ラボ」2026年10月号_特集 特集|危機感No.1は老朽化 財ラボ定例アンケート 現在の財政状況と今後の見通し ②危機感があることの1位は「公共施設の老朽化・更新」。延べでは「物価高騰」が2位に上がる 「いま強い危機感を持っていること」では、1位から4位まで挙げていただきました。1位として選ばれた最多は「公共施設の老朽化・更新」で87自治体(28.2%)(n=308)。以下、基金の枯渇、地方債・将来負担、経常収支の硬直化と続きます。延べ数だと、「公共施設の老朽化・更新」が258自治体(83.8%)で最多な点は変わらずですが、2位には228自治体(74.0%)が選んだ「物価高騰・人件費単価上昇」が入ります(1位では5番目)。 ③基金は「適正」。地方債は「重い」・「非常に重い」が半数を超える 「財政調整基金の現在高」は、適正が156自治体(50.8%)で最多。「不足」と「大幅に不足」は合わせて105自治体(34.2%)でした(n=307)。「地方債の負担感」は「重い」と「非常に重い」を合わせて169自治体(55.0%)(n=307)。この169自治体に管理ルールの有無を確認すると、「ない」が85自治体(50.3%)、「ある・守っている」が59自治体(34.9%)、「ある・守っていない」が10自治体(5.9%)でした。自由記入には「交付税措置のない地方債は原則として借りない」など、独自のルールもありました。「この1年の財政健全化への取り組み」では「事務事業の見直し/公共施設の統廃合・長寿命化/ふるさと納税の強化」の3つが半数を超え、最多の「事務事業の見直し」は185自治体(59.9%)でした(複数選択。n=309)。前項の「危機感があること」で「公共施設の老朽化・更新」を1位に挙げた87自治体のうち、この1年で「公共施設の統廃合・長寿命化」に着手したのは54自治体でした。残る33自治体は、最も強い危機感として挙げながら、まだ着手に至っていないという状況です。 公会計と固定資産台帳の活用 ①公会計は37.5%、固定資産台帳は33.8%が活用できている 公会計は「活用できていない」が192自治体(62.5%)で最多、「活用している」は115自治体(37.5%)でした(n=307)。固定資産台帳も同様で、「整備・公開・更新はしているが、活用はできていない」が140自治体(45.9%)、「老朽化施設の把握など一部の分析と活用にとどまる」が70自治体(23.0%)、「活用している」は103自治体(33.8%)でした(n=305)。どちらも、活用できているのは3~4割にとどまります。固定資産台帳の活用が公共施設マネジメントまで届いている自治体はさらに少なくなります。 ②資産データの活用には課題がある 前項の「危機感があること」で「公共施設の老朽化・更新」を1位に挙げた自治体のうち、この設問に答えた85自治体でみると、「公会計を活用できていない」が54自治体(63.5%)、「固定資産台帳を公共施設マネジメントに活用している」が9自治体(10.6%)で、全体の割合とほとんど変わりません。「公会計も固定資産台帳も活用できていない」も27自治体(31.8%)あり、危機感がある自治体でも公会計・固定資産台帳を活用できていない現状があるようです。また、「財政部門と公共施設マネジメント部門の連携」では「同一部門にある」「別部門だが日常的に連携している」が合わせて173自治体(56.4%)となりました(n=307)。台帳があり、関連部門が近くにあり、統廃合にも着手している。それでも、老朽化を数値化した資産データが活用されていないことが分かります。 生成AIと財務会計システム ①生成AIへ「関心あり」は7割、活用の壁は正確性と受け入れ体制 「予算、決算、評価、公共施設マネジメントの場面で生成AIを使っているか」では「関心はある(未着手)」が217自治体で70.5%を占め「実証実験導入・活用している」は51自治体(16.6%)でした(n=308)。「活用の壁」は「出力の正確性への不安」が184自治体(59.5%)で最多、「情報セキュリティ・個人情報」が152自治体(49.2%)、「スキル・使い方がわからない」が139自治体(45.0%)、「庁内ルール未整備」112自治体(36.2%)と続き、「首長・上司の理解」は16自治体(5.2%)にとどまりました(複数選択。n=309)。上位に並ぶのは、技術そのものへの不安と、庁内の受け入れ体制です。 ②財務会計システム、上位5社で6割。保守費は8割が1000万円未満 「利用中のベンダー」は、上位の5社で179自治体(57.9%)を占めており、最多のベンダーは53自治体(17.2%)が利用していました。運用保守の年額は、500万円未満が124自治体(47.3%)で最多、500万円以上~1000万円未満は85自治体(32.4%)で、1000万円未満が209自治体(79.8%)を占めます(率端数調整せず。n=262)。 ③3年以内に165自治体が更新期を迎える システムに含まれる機能は、予算編成が100.0%、執行・決算が99.7%とほぼすべての自治体が備え、起債管理は14自治体(4.5%)にとどまりました(複数選択。n=309)。更新の予定時期は2027年度が最多で73自治体(30.0%)、2026~2028年度の3年間だと165自治体(67.9%)でした(n=243)。 ④課題の1位はデータ分析、AI機能の搭載は0 「現行システムの課題」は「システム内でデータ分析ができない」が193自治体(62.5%)で最多、「事業評価結果を予算編成に活かしにくい」が137自治体(44.3%)で続きます(複数選択。n=309)。システムにAI機能が搭載されている自治体はありませんでした(n=308)。 自由記述から 自由記述においても、「公共施設の老朽化と更新の費用/物価高騰と人件費の上昇/事業の廃止や縮小が進まない/査定や予算編成のやり方への問題意識」に関連する記述が多く寄せられました。 これらは選択項目の上位と同じで、多くの自治体が共通の危機感を持っていることがうかがえます。 また、予算査定関連については「感覚によらない判断基準への要望/事業継続の是非を判断する材料が不足している」という声も寄せられました。 「金利上昇局面での資金調達への不安/長期の低金利で上昇局面の経験者が少ない/物価高で人件費や物件費が膨らみ、基金を取り崩しながらの綱渡り運営/自主財源を確保しようと各課で知恵を絞っているが、それを上回るペースで経費が増え、舵取りが難しくなっている」などの声もありました。 「当会に扱ってほしいテーマ」では、「金利上昇局面での資金調達のノウハウ/枠配分予算の導入手順とロールモデル/財政担当の業務量と人数/予算編成や決算統計での生成AIの活用事例/財務書類を予算要求に活かしている事例」などのご要望をいただきました。 また、「大規模自治体だけでなく、小規模自治体でも参考にできる事例を知りたい/財政課の職員が顔を合わせて話す場が欲しい」などのご要望もありました。 今回の調査では、いまの健全性への安心と5年後への危機感が同居していることが分かりました。 また、老朽化への強い意識がある一方で、公会計や固定資産台帳を活かしきれていない実態も見えてきました。 財ラボは、この現状を踏まえた実践的なヒントを届けられるよう、調査と発信を続けていきたいと考えています。 (了)(財ラボ編集部) |
